街を聴く

 「愛着を持っている音」、どのくらいありますか?

 そんな音がひとつもなくなってしまったら、

 なんて考えることさえできないけど。

 

 「不快な音」、どのくらいありますか?

 そんな音がひとつもない、

 ということもちょっと考えられないけど。

 

 良い音なのかどうなのか、

 というのは注意が向くまでわからないもの。

 たとえ「聞こえて」いても「聴いて」いないということも。

 聴くことが出来たら、

 「愛着を持っている音」は残したいと思えるようになるし、

 「不快な音」はなくならないものかと考える。

 

 さて、あなたのまわりで、美しく響いているものは何?

 それは、小さな音かもしれません。

 遠くの音かもしれません。

 いつか聴いたことのある、

 懐かしい記憶の中の音かも知れません。

 

 大きな音の中で神経を麻痺させていると、

 やがてどんな感動も麻痺してしまいそうで恐い。

 小さい音を聴いていたい。

 遠くの音を聴いていたい。

 小さな音を聴くことのできる街は、

 きっと素敵な街へとなってゆくでしょう。

 気持ちを優しくしてくれるのは、

 そんな街だと思いませんか。

 

 

     第2回音風景保全大会(1998.7.30-31 金沢市)
     「かなざわ 音の散歩道」マップより


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